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持株会社の事業承継について徹底解説!

M&A 会社売却の基礎

1997年12月、独占禁止法の改正により、純粋持株会社が解禁されました。

戦前は、旧財閥(三井・三菱・住友)が日本の近代化をリードする一方で、国内経済を支配しているような状況でもありました。そのため自由競争の観点から、純粋持株会社は独占禁止法により禁止されていました。

しかしその後、産業構造の変化に伴い、純粋持株会社の方が経営戦略上望ましい、と言う声が高まり、純粋持株会社が解禁されたのです。

それから着々と持株会社の数は増えていき、2015年3月31日時点で純粋持株会社の数は485社となっています(経済産業省『平成27年純粋持株会社実態調査-平成26年度実績-』)。上場企業のなかで考えると、約7社に1社が持株会社ということになります。大企業を中心として、M&Aによる持株会社化が増えています。

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参考) 外松陽子・宮島英昭「日本企業はなぜ持株会社制度を採用したのか?事業成熟度とコーディネーションの必要度」(2013年日本ファイナンス学会予稿集)。をもとに作成

 

そこで今回は、持株会社設立による事業承継M&Aについて、お話していきます。

目次

・持株会社とは

・持株会社の経営上のメリット、デメリット

・事業承継時における持株会社設立のメリット、デメリット

・まとめ
 

持株会社とは

持株会社とは、「他社の株式を保有し、株主として支配し、配当金で利益をあげていく会社」のことを指します。新聞やニュースなどで、「○○ホールディングス、○○HD、○〇グループ」という名前の会社をご覧になったことはないでしょうか。実は、これらは全て持株会社なんです!

持株会社は、グループ全体の利益を向上させ、効率的な経営を行うために、その中心的役割を担っている企業のことです。
 

持株会社の種類

持株会社は、大きく分けて以下の3種類あります。

  1. 事業持株会社・・・自ら事業活動も行ないながら、企業の株式を持つことで傘下の子会社を支配する会社
  2. 純粋持株会社・・・親会社である自らは事業活動(製造、販売など)を行わず、子会社を支配することで、株式配当によって企業利益を上げる会社
  3. 金融持株会社・・・銀行や証券会社などの金融機関を支配する純粋持株会社のこと

金融持株会社は少々特殊な例ですので、一般的には、事業持株会社と純粋持株会社のどちらかであることが多いです。
 

持株会社の経営上のメリット

持株会社には、以下のような経営上のメリットがあります。
 

持株会社の経営上のメリット①:経営判断のスピードアップ

新規事業の立ち上げや新制度の導入、傘下各社への権限の委譲、企業再編、大規模な買収など、様々な組織の変革がスピーディーに行えるようになるのも持株会社のメリットです。
 

持株会社の経営上のメリット②:俯瞰的な経営判断が可能になる

持株会社は、特定の事業にとらわれず、全体的な利益を追求する1つのグループ企業として動くことができます。また、経営戦略と事業活動を分離することで、俯瞰的な経営判断ができるという点も持株会社のメリットです。
 

 

持株会社の経営上のメリット③:経営責任の明確化

傘下の各事業会社はそれぞれ独立した会社です。そのため、持株会社を設立することで、事業会社に対して、どこまで事業に関する決定権限を与えるかを明確にすることが可能です。経営責任を明確化することで、それぞれの事業会社が採算を重視するようになります。また、業績の評価も容易に行えるようになります。

 

上記のメリットを一言でまとめると、持株会社は「グループ全体の最適化を実現するための組織づくり」とも言えます。

 

持株会社の経営上のデメリット

持株会社にはメリットだけでなく、以下のような経営上のデメリットも存在します。
 

 

持株会社の経営上のデメリット①:事業会社間の対立の可能性がある。

グループ会社とはいえど、傘下の会社ごとに事業内容や社風、経営方針は異なります。そのため、持株会社が下す方針が、傘下の会社全てにとって良い判断になるとは限りません。そうすると、事業会社間での対立が生まれやすくなり、思い通りに機能しなくなる可能性もあります。

 

持株会社の経営上のデメリット②:コスト増加

事業会社間で、バックオフィスの部門(人事、総務、経理など)にかかる費用や、法人ごとにかかる費用(税金など)が重複し、コストが増加します。それが、利益を阻害する原因にもなります。

 

持株会社の経営上のデメリット③:会社間の資金移動の手間が発生

社内の資金移動とは異なり、会社間の資金移動では、同一グループ内であっても、正式な発注・契約を交わす必要があります。そのため、事務処理の手間が増え、バックオフィスの負担が増えます。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット

持株会社には、経営上のメリット、デメリットがあるということが分かりました。

次に、事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット、デメリットを確認してみましょう。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット①:事業承継時の手間軽減

複数の経営権を事業承継するときこそ、持株会社設立が効果的です。

持株会社を設立しない場合、株式の引継ぎは、経営権を掌握している会社ごとに行う必要があります。

もし、3社の経営権を持っていたなら、株式引継ぎをそれぞれ1社ずつ、計3社分行う必要があります。(これは10社であろうが、100社であろうが、それぞれ引継ぎしなくてはならないのは同じです。)

オーナーからすれば、「1社の株式引継ぎだけでも大変なのにそんなにたくさんやってられない!」というのが本音です。

そこで、その課題を解決してくれるのが持株会社の設立です。

持株会社であれば、多くの子会社の経営権を一社がまとめて保有することになるため、一社分の株式引継ぎでまとめて事業承継することが出来ます。

持株会社設立によって、事業承継の手続きの手間を大幅に削減することができるというのが、持ち株会社設立の大きなメリットです。
 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット②:株式の分散防止

株式が分散すると、意思決定や支配力が弱まる、買収されるリスクが高まる、など様々な経営上のデメリットが生じます。そのため、後継者の経営の安定を考えると、なるべく株式を分散させないほうが良いといえます。持株会社を設立することで、一つの会社が子会社の株式を所有するかたちを実現できるため、株式の分散防止の意味でも、持株会社の設立は有効です。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット③:税金対策

持株会社が自社の株式を購入するための資金を金融機関から借り入れた場合、株式(資産)と借入(負債)が相殺されることになり、持株会社の株価上昇を抑えることができます。

株価を抑えることができれば、相続税や贈与税などの節税効果が期待できるため、後継者へ承継しやすくなります。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のメリット④:相続対策

持株会社へ自社株式を譲渡して現金化してしまえば、経営者の個人資産はその後の株式評価上昇による影響を受けません。そうすると、相続税評価額も株式評価の影響を受けなくなります。

また、自社株式を現金化することで、納税資金や財産分割資金の確保にもつながります。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のデメリット

一方で、事業承継時の持株会社設立には以下のようなデメリットがあることも要チェックです。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のデメリット①:借入金が発生する

持株会社への株式譲渡では、持株会社が株式を買い入れる際にそれなりの資金を調達しなければなりません。もし銀行から融資を受けた場合、その持株会社は負債を抱えることになります。十分な配当金を受け取れ、返済できる目途がある場合は問題ありませんが、そうでない場合には注意が必要です。

 

事業承継M&Aにおける持株会社設立のデメリット②:株式譲渡益への課税

株式を譲渡する側には、譲渡所得に対して15%の所得税と5%の住民税が課税されます。

 (相続、贈与の場合は、受け取る側が課税されます。)
 

まとめ

先述の通り、持株会社には承継時だけでなく、経営上のメリットもあります。事業承継の手間も省けて、経営上のメリットもある、それなら持株会社を設立しよう!という会社が増えている、というわけです。

持株会社(ホールディングス)化ときくと、大企業だけが行う大規模なM&Aのように思えるかもしれません。しかし実は、中小企業でも持株会社化をしているところは思いのほか多いのです。

経済産業省が調べた、資本金規模別で純粋持株会社の企業数のデータを見てみましょう。

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(参考)経済産業省『平成27年純粋持株会社実態調査確報-平成26年度実績-』をもとに作成

 

業種によって中小企業の定義は異なりますが、ここでは資本金5000万円未満を中小企業と考えることにします。そうすると、持株会社のなかで、約20%もの企業が中小企業であることが分かります。

大企業が中心ではありますが、中小企業でも持株会社化は可能であるということを知っておくと、経営戦略の幅が広がります。

選択肢の一つとして、持っておくとよいでしょう。

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