個人で小さい会社を買う方法!費用やリスク、流れを解説

小さい会社を買う場合でも、予算の範囲内で買える会社を最優先に選択するべきではありません。
どのようなビジネスを行っていきたいのか、事業のリスクは何かをよく考えてから買いましょう。少子高齢化の影響で後継者の不在傾向が高くなり、第3者へ会社を売り渡すことが増えてきました。会社の売却価格は保有している資産や負債の状況あるいは業績次第となっていますが、個人経営のような小さい会社の規模では数百万円から買うことができるケースが増えてきました。
まず小さい会社を買う目的を考えよう!
あたなはなぜ会社や事業を買おうと考えているのでしょうか。目的は会社選び、その後の運営に非常に重要な意味をもちます。まずは会社を購入する目的をしっかりと定めるところからはじめましょう。
会社を購入する、買収すると、経営者としてビジネスの経験ができる、事業を発展させることで資産形成ができる、顧客基盤・従業員を獲得することで事業展開のスピードを速めることができる、といったメリットがあります。
1つ1つ詳しくみていきましょう。
(1)経営者としてビジネスの経験ができる 従業員として給料をもらって働いていた意識から、経営者として従業員の雇用や取引先との関係を維持していく責任感へ大きく変化します。事業の発展により高い達成感を得ることもできるでしょう。
(2)資産形成ができる 経営者としての責任を果たすことによる対価として、自分自身の「役員報酬」を引き上げることが可能であり、また会社の利益があがるということは、購入した会社の価値が向上していると言い換えることができます。
将来、会社を売却することで、大きな現金を得ることができる可能性もあります。
(3)事業展開のスピードを速めることができる 新規に事業を立ち上げる場合、事業を支えてくれる優秀な人材を集める労力、運転資金獲得のための金融機関との交渉、許認可が必要であればその申請手続きなど、膨大な手間とコストがかかります。
会社を買うことでこれらの経営資源を一度に入手することができ、速やかに事業を展開できます。 自分がやりたい事業と近しい会社を購入することは、自身の独立・起業のショートカットともいえるかもしれません。
会社を買う予算を決めよう

予算とは自分で用意できるお金の事で、自己資金、金融機関からの借入可能額も含みます。
ただ、不確定な事業に大きな借入をすることは、リスクも伴います。自己資金と借入のバランスは、購入する会社、事業のキャッシュフローの安定性をみながら、良く検討する必要があります。
また、昨今、後継者不足から事業継続ができず廃業する中小企業が多いことが、日本の国としての課題として認識をされており、事業継承をする若い経営者を支援するような、公的な補助金もあったりします。 補助金は融資と違い、返済を伴わない資金であり、会社・事業の購入する際は、補助金の活用はぜひ検討して頂きたい資金調達の選択肢となります。
購入できる小さい会社を探す方法

個人で小さい会社を買う場合は、その利便性からインターネットを利用したM&Aマッチングサイトを利用することが多くなります。 M&Aのマッチングサイトでは、会社の売却価格が数百万円の案件を見つけることができます。
マッチングサイトには、売り主が希望する条件が掲載されており、実際の売買にあたり、売り手と買い手との面談や交渉は、原則として当事者間で行うことになります。
またM&A仲介会社に依頼する方法もありますが、購入する会社の規模が小さい場合には、仲介会社が取り扱っていないことが多く、取り扱いがあったとしても手数料の割合が非常に高くなる傾向にあります。
M&Aのマッチングサイト(民間)
民間のマッチングサイトは、利用のしやすさ、紹介案件の多さに強みがあります。運営母体企業がM&Aの専門業者であれば、有料サポート体制が用意されていることがあり、紹介案件内容について一定の信頼性もあります。(1)Batonz Batonz(バトンズ)は、M&Aの仲介会社で最大手の「日本M&Aセンター」が運営しているサイトです。Batonzでは買い手がM&Aの成約時に2%の利用料(または最低25万円)を支払います。日本M&Aセンターの専門家によるサポートが有料で提供されています。
(2)TRANBI TRANBI(トランビ)は、350社を超える金融機関および137社のM&A専門家と提携して、事業の売り手と買い手のマッチングサービスを提供しています。手数料は成約価額の3%(最低30万円)となっています。
M&Aのマッチングサイト(公的機関)
公的機関としての安心感、利用料が無料という魅力があります。ただし利用には一定の条件が付けられており誰でも気軽に参加できるわけではありません。
(1)後継者人材バンク 独立行政法人中小機構が運営しているサイトです。
全国にある「事業引継ぎ支援センター」に相談することで売り手と買い手をマッチングしてくれます。 なお、事業経験がない個人の場合は、「事業引継ぎ支援センター」と面談後、日本政策金融公庫とも面談してその推薦を得ることが、買収案件の紹介条件となります。
(2)事業承継マッチング支援 日本公庫国民生活事業では、日本公庫の融資先で従業者数9人以下の小規模事業者を中心に、日本公庫の専任担当者がマッチング候補を探してくれます。
利用には原則として、日本公庫に事業資金の借入残高がある方となります。 借入残高がない場合でも、事業を受け継いでいくことを希望する個人や、商工会議所や税理士等からの紹介により利用することができます。
M&Aの専門業者に依頼する
M&Aの専門業者を利用する場合、一般に仲介手数料を計算するための売買価格(成約価額)が数千万円規模の案件以上が対象となります。 会社を買う過程で売主との交渉に専門家が同席してくれるので、初めて会社を買う場合でも安心できることがメリットです。個人で小さい会社を買う場合の想定リスク
中規模以上の一般的なM&Aで会社を買う場合は、売り手企業の様々なリスクを事前に洗い出しする「デューデリジェンス」を実施することが一般的ですが、小さい会社を買う場合は、実施しないこともあります。税理士や弁護士などの専門家に依頼する場合コストを鑑みて、許容できるリスクかどうかを見極めましょう。
簿外債務に気を付ける
会社を買う際に最も気をつけるべきポイントのひとつです。小さい会社の財務諸表は、税務目的となっていることが多いため帳簿にない「簿外債務」の可能性があることを考慮する必要があります。たとえばリースの残債、瑕疵担保による将来の損失可能性、創業者の退職引当金債務などです。
連帯保証の有無
小さい会社では一般的に、経営者または会社が、借入金や重要な取引の連帯保証をしています。会社を買う側で連帯保証を引き継げないと、事業の継続ができない(会社を買うことができない)場合があります。
未納付の税金、未加入の社会保険の有無
黒字の会社であっても、資金繰りが厳しいことで納税を後回しにしている場合があります。従業員が一定数いるにも関わらず社会保険に加入していない場合は、法令上、速やかに社会保険に加入しなければなりません。
利害関係者の調整
会社を購入することは目的ではなく、スタートです。会社を購入した後、従業員や取引先をはじめとした利害関係者との関係性を維持できることは、会社を継続して経営をしていくにあたり非常に重要なポイントです。 従業員との衝突や軋轢が生じることで従業員が離職してしまい、事業が継続できなくなってなんてリスクもありえます。しまうことがあります。
個人で小さい会社を買う場合の費用、流れ

簡易の依頼(例えば契約書のひな型だけを依頼する)により一部の費用を抑えることができる場合もあります。
買主の費用
会社を買う側が支払う費用には、主に以下があります。(1)最終契約の成立時に支払う手数料として最低数十万円~
(2)会社の買取代金
(3)デューデリジェンス費用(実施した場合)として数万円~
(4)契約書の作成やチェックにかかる弁護士、税理士などへの報酬(依頼した場合)
個人で小さい会社を買う場合の流れ
小さい会社を買う場合でもM&Aの基本的な手続きは大きく変わりません。概ね以下の流れになります。(1)インターネットのマッチングサイトでは、買受希望の登録申し込みをします。「後継者人材バンク」など公的機関のサービスでは登録後にサービス提供機関と面談をします。
(2)買い手側のニーズに合った会社が見つかったら、売り手側と交渉を開始します。初期の交渉段階ではメールでのやりとりが多く、お互いが匿名で進めていきます。 売り手側が実名交渉をしたいと思える買い手が現れたら、守秘義務契約を締結して、実名で交渉に入ります。
(3)事業リスク、財務リスク、法務リスクを洗い出すためのデューデリジェンスを必要に応じて実施します。
(4)最終契約書を締結、代金を精算します。
(5)マッチングサイトの運営会社に成約手数料を支払います。
まとめ

より生産性が高い事業に改善して付加価値をつけたり、経済や時代の変化に適用できる事業に転換するなどで、さらなる事業の発展を期待することができるでしょう。
ただし、思わぬリスクから足元をすくわれて事業が失敗しないよう、会社を買う際にはM&Aの仲介会社、税理士などの専門家に相談しながら進めることをお勧めいたします。