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飲食店の事業継承とは?よくある悩みや注意点やポイントとは?

都道府県の事業販売・事業承継
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高齢化社会が進む中、問題となっている1つとして事業の承継があげられます。今回は事業承継の中でも「飲食店業界」にフォーカスして現状や課題についてまとめてみました。

 

1.事業承継の一般的な傾向


東京商工リサーチによれば、中小企業で後継者が決まっていない数は半数以上におよび、代表者の年齢別では60代が40.9%、70代が29.3%、80代が23.8%となり、経営者の高齢化が課題となっています。

後継者がいると回答していた企業8万社超のうち、「同族への承継を予定」している企業はおよそ70%を占め、「従業員が承継する予定」がおよそ17%、「外部の人材に承継する予定」がおよそ14%となり、親族による事業承継が最も多くなっています。

 

2.飲食店業界の事業承継は個人経営者が多い


飲食店は「売上高に対する人件費比率が高い」労働集約型産業の1つであり、顧客や取引先との密接な人間関係、職場で働く方々の努力によって支えられています。

事業規模別でみると、「飲食サービス業」カテゴリでおよそ81.6%が個人事業主、残りは法人となっています(総務省統計局「統計Today No.82」)ので、事業承継に関する問題の多くは、個人経営者の後継者問題と推察できます。

  「宿泊業、飲食サービス業」カテゴリでは、開業率が全業種のなかでおよそ9.7%と最も高く、廃業率もおよそ6.4%と最も高くなっています。

事業承継を円滑に進めて廃業をしないようにすることはとても大切です。

 

3.飲食店が後継者問題を抱えている背景


飲食事業は一般に競争が激しいため、高い単価によるサービス提供が難しく、人件費と賃料がコスト総額に占める比率が高いことから、労働生産性(簡単な算式では、利益÷人件費)が低いため、後継者を見つけにくい状況にあります。

個人経営が多いことから事業承継を検討する際、その多くは家族・親族を最初に考えることになります。
ですが少子高齢化を背景に経営者の子が事業承継をためらうことが少なくなく、後継者不在により廃業を選択するケースも見られます。

 

4.事業承継の基本的な考え方

 
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「人」の承継


事業承継で最も大切なことは、その事業を支える「人」の維持と、有形・無形の「経営資源」の活用です。

「人」の承継は、経営者、従業員、取引先の担当者などです。
現在の経営者との繋がりがあるから取引をしているという場合がありますので留意が必要です。
事業上のキーパーソンをいかにして引き止めることができるかは大きな課題になります。

 

「資産」の承継


「資産」の承継は、事業用資産の活用度合い(店舗の立地、外装内装の程度など)、賃料などの契約状況などです。
貸借対照表では見えない価値や帳簿には表されないリスクなどを評価する必要があります。

換金できる資産がない場合は、相続時の納税資金をいかにして準備するかがポイントになります。


(出典)中小機構 中小企業経営者のための事業承継対策
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5.後継者選定の3つのケース


家族経営が多い飲食店では、後継者を選ぶ順序は最初に家族・親族を検討し、次いで従業員となることが多くなります。

  親族や従業員が事業を承継する意思がない、経営者としての資質が難しい状況である場合には、思い切って外部へ事業を譲渡し、第3者の手で事業発展の可能性を期待することも選択肢となります。

それぞれの場合で事業を承継する場合のメリットを説明します。

 

(1)家族や親族が事業を承継する場合


従業員や取引先などからの理解が得られやすいこと、早い時期から後継者の育成に時間をかけられること、引退した経営者が引き続きアドバイスをしやすいことがあります。

 

(2)第3者が承継する場合(従業員など)


承継者となる従業員が長い間働いていればその業界に精通し、人脈もある程度できている場合が多いこと、経営者としてのキャリアの機会を承継者に提供することで士気を高めることが期待できます。

 

(3)第3者が承継する場合(M&Aなど)


合併、譲渡(買収)などで外部に経営を引き継いでもらう方法です。
メリットとして、事業価値や持ち株を売却し換金化できること、新しい経営者の下でも取引先の継続や従業員の雇用維持を条件とすることができます。

 

6.主な事業承継の方法


事業の「経営権」を継承するにあたり、株式会社と個人事業主ではそれぞれ方法が異なります。

一般的な承継方法として以下があります。
 

(1)株式会社の承継方法


株式会社の承継では、議決権株式の2/3以上を承継者に集中するように準備することが重要です。
とくに相続では株式が親族に散らばらないよう、承継者に集中するための配慮(遺言など)が必要です。
・家族や親族承継者に株式を生前贈与する、相続(遺言などを併用)する。
・第3者承継者が経営者から株式を購入する。
 

(2)個人事業の承継方法


個人事業の承継では、賃借物件(店舗やオフィスなど)の賃貸契約書の名義を承継者に変更することで承継できます。
その際には、家主や取引先と変わらぬ契約条件になるよう交渉する必要があるかもしれません。

 

7.事業承継で注意したいポイント

 

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事業承継のポイント 事業の健全性


最も重要なことは承継する方が円滑に事業を進められるよう、事業の健全性があるかどうかです。
承継事業の業績が悪くないこと(利益がでていること)、返済困難な過大な負債がないことなどです。

懸念される「経営者の個人保証や担保」については、信用保証協会などで承継者が経営者保証を引き継がなくても済むように「事業承継特別保証制度」を用意していますので金融機関に相談しましょう。

 

事業承継のポイント 資産の維持管理状況


事業には有形・無形の価値があり、有形であれば店舗造作物が綺麗に維持されていて修繕費用を気にしなくてもよい状況かどうか、無形であれば経営ノウハウ、従業員や取引先との信頼関係、顧客との関係がしっかり築かれているかどうかが重要です。
 
無形部分は経営者の資質に頼っている場合が多く見られ短期的に醸成することは困難ですので、承継者ができる限り早い時期から関わっていくことが大切です。

 

事業承継のポイント 納税対策


事業継承では納税対策も欠かせません。 株式の場合、その評価額次第ではたとえば親から子に株式を「贈与」する場合には贈与税が、「相続」による承継では相続税が発生する可能性があります。基本的に利益を出している場合には株式の税法上の評価額が高くなります。

 

・贈与税の対策、生前贈与を活用する(株式の場合)

基本的な仕組みとして贈与税の場合は基礎控除額が毎年110万円ありますので、この範囲内あるいは税率が低い範囲で株式を毎年、後継者に贈与します。
 

・相続手続きの対策(株式の場合)

「経営承継円滑化法(遺留分に関する民法の特例)」を検討します。 相続時に株式を相続人に再分配することがなくなりますので株主対策として有効です。
 

・相続税の対策(株式の場合)

「事業承継税制」を検討します。 後継者が株式を取得しても、贈与税や相続税の納税が猶予される、あるいは免除されることで事業承継をスムーズに進められるでしょう。
 

・事業承継に関する補助金(中小企業庁や地方自治体)を活用する

事業承継には納税や、手続きの諸経費など支出がつきものです。
それらの支出をカバーして事業承継を支援する目的で「事業承継補助金(中小企業庁)」や「事業承継支援助成金(東京都)」が用意されています。
検討にあたっては、申請期限、受給者制限などがありますのでご留意ください。

 

8.事業承継の相談窓口


事業承継は契約書の更改にかかる法的な対応、複雑な税制、関連する支援制度など多岐に渡りますので、あらかじめ専門家に相談することをお勧めします。

公的機関では「事業引継ぎ支援センター」や「商工会議所」で基本的な事業承継に関して無料で相談に乗ってくれます。

民間では顧問税理士に相談することで贈与税や相続税対策のアドバイスをしてくれますし、メインバンクの担当者が事業承継の相談に乗ってくれる場合もあります。
 

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